図書館
子どもの頃の図書館はただ本を探すための場所だった
漢字が全て理解できなかった頃はふりがなのふってある
探偵小説を貪るように読んだ
やがて漢字を覚えた僕は純文学の世界に足を踏み入れた
「ノルウェィの森」を始めて読んだ高2の夏は少しだけ大人になった気がした
やがて受験勉強が始まると図書館は本を読む場所ではなくなった
赤の問題集を広げて朝から晩まで勉強してるか昼寝をしてるか
あるいは雑誌を読むか
とにかく1日中いたことだけは覚えている
世の中の仕組みをよく知らなかった僕は
なぜこんなに長い時間いるのにお金を払わなくて良いのか不思議だった
あれから20年たって
今僕は同じ図書館でパソコンのキーボードを叩いている
仕事をしたりブログを書いたりネットニュースを見たりしている
でも今でも子どもたちは本を読んだり高校生位の少年は勉強をしたりしている
そんな周りを見てあの日の自分に重ね合わせてしまうが
時代の流れは「そんなことは関係ない。たまたまお前の人生の一部に図書館という
場所があっただけだよ」と言わんばかりの顔で僕の前を通り過ぎていく
10年先 20年先 僕は図書館で何をしているだろう?
昭和 平成 令和と時代が移り変わって僕と関わる人が変わっていっても
この場所は変わらない そしてこの場所にまた来たい
ほんの少しだけそう願ってみた